民事執行法の改正(第三者からの情報取得手続)
裁判で勝訴し、判決を得たとしても、判決に記載された金銭の支払いを必ず受けることが出来るとは限りません。確定判決を得たとしても、判決の内容に沿った支払いを行わない当事者は、一定数存在します。そのため、ご依頼を頂く前に法律相談を受ける際、紛争の相手方に支払能力があるのかどうか、判決を得たとして強制執行を行うに足る資産を把握しているかどうかについてのヒアリングをさせて頂いています。判決の内容に沿った支払いを行わない場合には、裁判所に強制執行を申し立てることを検討することとなります。
先日のコラムでは、財産開示手続についてご説明をさせて頂きました。今回は、第三者からの情報取得手続についてご説明させて頂きます。第三者からの情報取得手続を利用することで、預貯金口座の財産情報(預貯金等の有無、支店名、口座番号、残高等)、勤務先等の情報(勤務先(給料等)の有無、名称や場所)といった情報を取得することが出来るようになりました。これらの債務者の財産に関する情報があれば、強制執行手続を利用しやすくなります。なお、不動産について法務局からの情報提供を求める手続きに関しては、2021年5月16日までに開始されることとなっています。勤務先の情報に関しては、市町村、日本年金機構、公務員共済組合等から情報提供を求めることとなりますし、預貯金口座に関しては、銀行、信用金庫等の金融機関から情報提供を求めることとなります。
また、勤務先等の情報に関して情報提供を求めることが出来るのは、婚姻費用や養育費に関する請求権、人の生命や身体の侵害による損害賠償請求権に限られますので、注意が必要です。それ以外の請求権(売掛金や貸付金等の請求)の場合には、勤務先等の情報に関して情報提供を求めることは出来ませんので、注意が必要です。
さらに、不動産の情報と勤務先等の情報に関する情報提供を求める場合には、申立てに先立って財産開示手続を行うことが必要となります。
第三者からの情報取得手続により、より実効的な強制執行が可能になったと思われる反面、申立ての要件が複雑で分かりにくいこともあるかと思いますので、債権回収にお困りでしたら、お一人で悩まずに弁護士にご相談頂くことをお勧め致します。
藤沢市、鎌倉市、茅ヶ崎市近郊で、債権回収についてお困りでしたら弁護士松永大希(藤沢かわせみ法律事務所)までご連絡下さい。
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