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遺言書の代筆は法的に有効?代筆が認められない理由やリスクを解説

「遺言書の代筆はしても良い?」「遺言書を代筆しても法的に有効なのか知りたい」「遺言書の代筆を依頼する方法が知りたい」と思っていませんか?

手の震えなどがあり自筆で遺言書を書くのは難しいが、遺言書を残しておきたいとお悩みなのではないでしょうか。遺言書の代筆が有効かどうかは、その種類によって大きく異なります。

本記事では、「遺言書の代筆は法的に有効なのか、代筆が認められない理由やリスク」を紹介します。遺言書を代筆・偽造すると生じ得る法的リスクまで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

●遺言書の代筆は法的に有効?
自筆証書遺言の代筆は原則として法的に無効ですが、遺言書の種類によっては有効に作成することが可能です。

・自筆証書遺言の代筆は原則「無効」
・公正証書遺言なら本人が手書きする必要はない
・秘密証書遺言や特別方式遺言という方法もある

それぞれ解説します。

◯自筆証書遺言の代筆は原則「無効」
自筆証書遺言において、他人が内容を書き写す「代筆」は原則として無効です。

この形式は、本文・日付・氏名のすべてを本人が手書きすることが成立の条件だからです。

たとえ家族が本人の指示通りに清書したとしても、本人の筆跡でない遺言書に法的効力は一切認められません。

自筆証書遺言を作成する際は「代筆厳禁」というルールを徹底する必要があります。

◯公正証書遺言なら本人が手書きする必要はない
本人が手書きすることが困難な場合は、公正証書遺言の作成が確実な手段です。

公正証書遺言は、本人が口頭で伝えた内容を公証人が文章化する手続きであるため、自筆の必要がありません。

手が震えて文字が書けない高齢者や病気で動けない方でも、この方法なら無効リスクを気にせず意思を遺せます。

法律のプロである公証人が関与する公正証書遺言は、代筆に頼らずとも確実に遺言を残せる推奨される手法です。

◯秘密証書遺言や特別方式遺言という方法もある
遺言書には、代筆が許容される特殊な方式が存在します。

たとえば「秘密証書遺言」は、署名さえ自筆であれば、本文をパソコンや代筆で作成することが認められています。

また、死期が迫った急病人が利用する「一般危急時遺言」などの特別方式では、証人の立ち会いのもとでの代筆が可能です。

ただし、これらは手続きが複雑で利用ハードルが高いため、専門家の助言を得ながら慎重に検討すべき選択肢となります。

●自筆証書遺言の代筆が認められない理由
自筆証書遺言の代筆が認められない理由は、以下の4つです。

・自筆証書遺言は本文と日付と氏名を本人が自書する必要がある
・自書を求めるのは本人の真意を担保し偽造や変造を防ぐため
・添え手による補助は有効となる場合もあるが無効や争いのリスクが高い
・添え手が認められるのは本人の意思で書いたと判断できるなど条件が厳しい

ひとつずつ解説します。

◯自筆証書遺言は本文と日付と氏名を本人が自書する必要がある
自筆証書遺言を有効にするには、民法が定める「自署」のルールを厳守しなければなりません。

具体的には、遺言の内容(本文)、日付、氏名のすべてを本人の手で書き上げる必要があります。

一部でもパソコン作成や代筆が含まれると、財産目録などの一部例外を除き、遺言全体が無効となるおそれがあります。

形式的なわずかなミスが遺言を無価値にするため、全文を丁寧に自署することが不可欠です。

◯自書を求めるのは本人の真意を担保し偽造や変造を防ぐため
自署を絶対条件とする最大の目的は、その遺言が間違いなく本人の意思であることを証明することにあります。

筆跡には一人ひとりの個性があり、鑑定によって本人によるものかを高い精度で判断できるためです。

代筆が自由になれば、悪意のある相続人による偽造を許すことになりかねません。

自署というハードルを設けることで、死後に残された家族が遺言の真偽を巡って疑心暗鬼になる事態を防いでいます。

◯添え手による補助は有効となる場合もあるが無効や争いのリスクが高い
他人が手を添えて執筆を助ける「添え手」は、実務上、無効とされるリスクが高い行為です。

過去の判例で認められたケースはあるものの、要件を満たさないと自書と認められず無効になり得るためです。

そして、添え手の有無が争点となり、遺言の有効性が訴訟で争われることがあります。

「手伝う」という善意が結果的に遺言を無効にし、無効となると相続手続きが複雑化して、紛争につながるおそれがあります。

◯添え手が認められるのは本人の意思で書いたと判断できるなど条件が厳しい
添え手による遺言を有効にするには、裁判所が示す極めて厳しい要件をすべてクリアしなければなりません。

本人の自筆能力が著しく低下しており、かつ添え手が単なる補助に留まり、内容の誘導がないことが客観的に証明される必要があります。

たとえば、添え手側が筆先を動かして字を形成している状態では、本人の意思とは認められません。

こうした証明は現実には困難なため、添え手に頼らず、最初から公正証書遺言を選ぶのがおすすめです。

●遺言書を代筆・偽造すると生じ得る法的リスク
遺言書を代筆・偽造すると生じ得る法的リスクは、以下の3つです。

・遺言書の偽造などは相続欠格に該当し相続権を失う可能性がある
・相続欠格となった場合は相続権を回復できない扱いとなる
・遺言書偽造は有印私文書偽造罪など刑事責任を問われる可能性がある

それぞれ解説します。

◯遺言書の偽造などは相続欠格に該当し相続権を失う可能性がある
遺言書を偽造・隠匿した相続人は、法律上の「相続欠格者」となります。

相続欠格とは、重大な不正を行った者から相続人としての資格を強制的に奪う制度です。

欠格者になると、本来受け取れるはずの遺産は一切相続できなくなります。

「少しだけ内容を書き換えよう」という一時的な欲が、結果として最も大きな損失を招くことになります。

◯相続欠格となった場合は相続権を回復できない扱いとなる
一度「相続欠格者」に該当すると、その資格を後から取り戻すことは原則不可能です。

たとえほかの相続人全員が許したとしても、法律の効果として相続権は消滅したままとなります。

代筆という不適切な手段を選んだ代償は、一生をかけても償いきれないほど重いものになるでしょう。

取り返しのつかない事態を避けるためにも、常に透明性の高い、正当な手続きを貫くことが求められます。

◯遺言書偽造は有印私文書偽造罪など刑事責任を問われる可能性がある
遺言書の偽造は、民事上の制裁に留まらず、刑事罰の対象となる犯罪行為です。

「有印私文書偽造罪」や、それを行使する「同行使罪」に問われ、懲役刑が科されるおそれがあります。

家族間の問題だからと警察が介入しない保証はなく、前科がつくことで社会的な信用をすべて失いかねません。

遺言の偽造は、人生を台無しにする深刻な犯罪であると認識すべきです。

●自筆が難しい方は「公正証書遺言」がおすすめ
自筆が難しい方は「公正証書遺言」がおすすめな理由は、以下のとおりです。

・公証人が内容を筆記するため全文の自書が不要になる
・署名が難しい場合は公証人の付記により署名に代えられることがある
・病気などで外出できない場合は公証人に自宅や病院へ出張してもらえる

ひとつずつ解説します。

◯公証人が内容を筆記するため全文の自書が不要になる
公正証書遺言の最大の利点は、本人が全文を手書きする必要が一切ない点です。

遺言者が口頭で述べた内容を、法律のプロである公証人が正確な公文書として作成します。

その結果、文字の書き間違いによる形式不備や筆跡トラブルを未然に防ぐことが可能です。

本人は完成した書面の内容に相違ないかを確認するだけで済み、書く労力をかけずに完璧な遺言をのこせます。

◯署名が難しい場合は公証人の付記により署名に代えられることがある
自分の名前を書くことさえ難しい重度の身体障害がある場合でも、遺言作成を諦める必要はありません。

公正証書遺言では、署名できない理由を公証人が書面に付記することで、署名に代える制度が認められているためです。

病気などで手が動かない場合でも、この制度を利用すれば法的に有効な遺言を成立させられます。

この柔軟な対応により、意思疎通さえできれば、身体が不自由な方でも遺言を残す権利が守られます。

◯病気などで外出できない場合は公証人に自宅や病院へ出張してもらえる
公正証書遺言は、必ずしも公証役場へ出向かなければならないわけではありません。

外出が困難な場合、公証人に自宅や入院先の病院、介護施設まで「出張」してもらうことが可能です。

住み慣れた場所や安心できる環境で手続きを進められるため、本人の心身への負担も最小限に抑えられます。

移動が困難だからといって遺言作成をあと回しにせず、出張サービスの利用を検討してみましょう。

●公正証書遺言を作成する具体的な流れと費用の目安  
公正証書遺言を作成する具体的な流れと費用の目安は、以下のとおりです。

・遺言の内容を固めるため財産と受取人の一覧を作成する
・公証役場の案内に沿って戸籍や不動産資料など必要書類を揃える
・遺言で扱う財産の価額に応じて公証人手数料が決まる仕組みを確認する
・出張作成の加算や日当交通費・正本謄本の交付手数料など追加費用も見積もる

それぞれ紹介します。

◯遺言の内容を固めるため財産と受取人の一覧を作成する
まずは、財産の現状と引き継ぎたい相手を整理することです。

誰に何をどれだけ渡すかが曖昧な状態では、正確な遺言は作れません。

まずは不動産、預貯金、株式などのリストを作成し、受取人の情報を書き出してみましょう。

この一覧表を準備しておくことで、後の公証人との打ち合わせや専門家への相談が効率的になります。

◯公証役場の案内に沿って戸籍や不動産資料など必要書類を揃える
遺言の内容が固まったら、それを裏付ける公的な証明書類を収集します。

公証人は提出資料を基に文書を作成するため、正確な戸籍謄本や登記簿謄本が欠かせません。

具体的には、本人の印鑑証明書や戸籍謄本、不動産の固定資産評価証明書などを揃えます。

書類に不足があると手続きが停滞するため、公証役場の案内リストに沿ってひとつずつ確認しながら準備しましょう。

◯遺言で扱う財産の価額に応じて公証人手数料が決まる仕組みを確認する
公正証書遺言の費用で中心となるのが、公証人への手数料です。

この手数料は、財産の総額ではなく「各相続人が受け取る額」に応じて計算される仕組みです。

たとえば、配偶者に5,000万円、子に3,000万円を相続させる場合、それぞれの額に応じた手数料を合算します。

財産額や受取人の数によって費用が変動するため、あらかじめ資産額に基づいた試算を行っておくと安心です。

◯出張作成の加算や日当交通費、正本謄本の交付手数料など追加費用も見積もる
基本手数料以外に発生する「追加費用」についても確認が必要です。

とくに病院などへの出張を依頼する場合、基本手数料が5割増しになるほか、公証人の日当や交通費がかかります。

また、遺言書の控えである「正本」「謄本」の発行にも「1ページにつき250円」の手数料が必要です。

これらを合計すると、基本料金より数万円ほど高くなるケースが多いため、少し多めに予算を見積もっておくとよいでしょう。

●遺言書の作成で失敗しないために専門家へ相談すべき理由
遺言書の作成で失敗しないために専門家へ相談すべき理由は、以下の2つです。

・遺言能力の争いを防ぎ無効リスクを下げるため
・内容の不備や遺留分トラブルを避ける設計にするため

ひとつずつ紹介します。

◯遺言能力の争いを防ぎ無効リスクを下げるため
高齢になってからの遺言作成で懸念されるのが、「判断能力(遺言能力)」の有無を巡る争いです。

死後、納得のいかない親族が「当時は認知症で正常な判断ができなかった」と無効を訴えるケースは少なくありません。

専門家が関与していれば、当日の記録や医師の診断書の手配など、強力な証拠を揃えることが可能です。

客観的な裏付けを用意しておくことで、将来の紛争リスクを劇的に低減できます。

◯内容の不備や遺留分トラブルを避ける設計にするため
法的に有効な遺言であっても、内容が不公平であれば親族間の「争族」を招きます。

とくに、最低限の相続権である「遺留分」を侵害する内容は、紛争に発展しやすいです。

しかし、専門家に相談することでこうした権利関係を事前に調整し、トラブルが起きにくい配分案を策定できます。

「なぜこの配分にしたのか」という意思を伝える「付言事項」の活用など、円満な相続を実現するための設計を大切にしましょう。

●遺言書の代筆に関するよくある質問
遺言書の代筆に関するよくある質問を以下にまとめました。

・遺言書に自署できない場合はどうすればいいですか?
・文字が震えて判読しづらい遺言書でも自筆証書遺言として有効ですか?
・代筆が発覚した場合はどのような影響がありますか?
・認知症がある場合でも遺言書を作成できる可能性はありますか?

順に回答していきます。

◯遺言書に自署できない場合はどうすればいいですか?
自署が難しい場合は、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言を選ぶのが確実です。

公証役場では本人が内容を伝え、公証人が筆記して作成するため、本人が書けなくても法的に有効な遺言を残せます。

無理に代筆で作ろうとせず、合法で確実な方法で意思を残しましょう。

◯文字が震えて判読しづらい遺言書でも自筆証書遺言として有効ですか?
本人が自力で書いたもので、内容が客観的に判読できれば自筆証書遺言として有効になり得ます。

多少の震えがあるだけで直ちに無効になるわけではありませんが、判読が難しいほどあとで真偽や内容が争われるリスクは高まります。

不安がある場合は公正証書遺言を検討し、可能なら作成状況を説明できる資料も残すと安心です。

◯代筆が発覚した場合はどのような影響がありますか?
自筆証書遺言で代筆が発覚すると、方式違反として遺言が無効と判断される可能性があります。

無効になれば遺言どおりに分けられず、相続人間で遺産分割協議が必要になったり、法定相続分を前提に手続きを進めることになります。

さらに、事情によっては遺言書の偽造などとして相続欠格や刑事責任が問題になる可能性もあります。

◯認知症がある場合でも遺言書を作成できる可能性はありますか?
認知症の診断があっても、作成時に遺言の内容と結果を理解できる遺言能力があれば、遺言書を作成できる可能性があります。

もっとも、死後に遺言能力が争われて無効を主張されるリスクは高くなりやすいです。

医師の意見書や診断書の準備も含め、専門家と連携して慎重に進めるのが安全です。

●まとめ  
自筆証書遺言における「代筆」は法律で厳禁されており、発覚すれば遺言は即座に無効となります。

身体的な理由で自筆が困難な場合は、代筆を検討するのではなく、公証人が作成を担う「公正証書遺言」を選ぶのがおすすめです。

そして、遺言書をめぐるトラブルの多くは、少しの知識と事前の準備、そして家族への配慮があれば、確実に防げます。

そのため、今もしトラブルになりにくい遺言書を作成したいとお考えの方は、法律のプロである弁護士へ相談しながら作成をするのがおすすめです。

遺言書の種類や記載方法、手続き方法や問題になりやすいポイントなどを含め、ぜひ弁護士に相談しながら進めてみてください。

藤沢市、鎌倉市、茅ケ崎市近郊で、遺産分割に関してお困りでしたら弁護士松永大希(藤沢かわせみ法律事務所)までご連絡下さい。電話 0466−52−5637|受付時間は10:00から18:00メール info@kawasemi-law.comよろしくお願いします!

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