遺言書の検認は欠席しても大丈夫?ペナルティや影響はある?
遺言書の検認は、故人の意思を確認し、遺産の適切な分配を行うために重要な手続きです。
しかし、本人や遺族の事情により、検認手続きに出席できない場合もあります。
その場合、ペナルティや遺産分配への影響はどうなるのでしょうか。
遺言書の検認を欠席しても問題ないのでしょうか。
この記事では、遺言書手続きの実情と、欠席した場合の影響について解説します。
●遺言書の検認とは
検認とは、遺言書の存在と内容を家庭裁判所が確認する手続きです。
具体的には、遺言者が亡くなった後、相続人が家庭裁判所に申し立てて、以下のことが行われます。
1、遺言書の存在を相続人に知らせる
2、遺言書の内容を明確にする
3、偽造や変造がないことを確認する
これにより、遺言書の真正性が担保され、相続手続きにスムーズに移行できるようになります。
●遺言書の検認は欠席しても問題ない
遺言書の検認期日に出席できない場合でも、ペナルティを受けたり、大きな不利益を被ることはありません。
検認に出席するかどうかは各相続人の自由です。
相続人の誰かが検認期日に欠席しても、検認手続き自体は中止されることなく予定通り進行します。
仕事や急な体調不良などの理由で出席できないことがあっても、検認手続きの進行や結果に影響はないので安心してください。
なお、家庭裁判所への欠席連絡も不要です。
◯申立人は出席が必須
ただし、検認の申立人は、検認期日に必ず出席しなければなりません。
申立人が検認期日に遺言書を家庭裁判所に持参しないと、検認手続き自体が行えなくなってしまうからです。
もし申立人が検認期日を欠席すると、出席した相続人に迷惑をかけることになります。
さらに、検認を怠ったとして、罰則の対象となる危険性があります。
したがって、検認の申立人は、確実に出席できる日程で検認の希望日を家庭裁判所に伝えてください。
◯代理人に出席してもらうことも可能
相続人は代理人として弁護士を出席させることも可能です。
もし代理人の選任ができなかった場合でも、裁判所が作成する検認調書を確認することで、遺言書の内容や検認時の状況を把握できます。
●検認に関する注意点
ここでは、遺言書の検認における注意点を紹介します。
・検認を受けないと遺言内容の実現はできない
・検認前に遺言書を開封してはいけない
・検認を受けたからといって有効というわけではない
・検認が不要な場合もある
それぞれ解説していきます。
◯検認を受けないと遺言内容の実現はできない
遺言書の内容が適切に執行されるよう、法律では遺言の検認手続きが定められています。
検認手続きがされていない遺言書は、相続手続きで使用できません。
検認を経ずに遺言を実行しようとすると、5万円の過料という罰則が科される可能性があります。
◯検認前に遺言書を開封してはいけない
検認前に遺言書を開封することは法律で禁止されています。
遺言書を発見したら、速やかに検認申し立てをする必要があります。
もし検認前に開封してしまうと、5万円以下の過料を科せられる可能性があるため注意してください。
◯検認を受けたからといって有効というわけではない
検認手続きは、あくまで検認当日時点の遺言書の状態を確認するものです。
遺言の有効性を審査する手続きではありません。
これは多くの方が誤解しているポイントです。
したがって、検認が完了したからといって、遺言書の有効性が最終的に確定するわけではありません。
後から遺言書の無効を争うことも可能なのです。
◯検認が不要な場合もある
検認が必要なのは自筆証書遺言と秘密証書遺言です。
公正証書遺言の場合、検認手続きは不要となります。
公正証書遺言は、公証人と証人2名が作成に関与し、公証役場で原本が保管されるため、偽造や変造のリスクが低いことが理由です。
また、自筆証書遺言であっても、2020年7月に始まった自筆証書遺言の保管制度を活用する場合は、検認手続きが不要になります。
●まとめ
遺言書の検認は欠席しても問題ありません。
出席できなくても検認手続きは実施されますし、ペナルティもないため、都合がつかなくても大丈夫です。
ただし、申立人は出席が義務付けられており、もし欠席すると他の相続人に迷惑がかかることになるので注意しましょう。
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