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相続放棄の方法|自分で手続きをする方法を解説


相続放棄を検討しているものの、どのように手続きすればいいのかと悩んでいませんか。

手続きのルールが複雑であるため、注意点をしっかりと理解しておきたいと考えている人もいるでしょう。


この記事では、相続放棄を自分で行ううえでの方法を中心に紹介します。加えて、ルール上の注意点や弁護士に依頼すべき理由についても理解できます。相続放棄を行う際の参考にしてください。


相続放棄の方法

相続放棄の手続きをするには、準備の段階から計画的に行う必要があります。法律で期限も設けられているため、早めに準備を進めなければなりません。ここでは、相続放棄の具体的な方法について説明しましょう。


相続放棄の検討

まずは相続放棄をするか否かを検討します。主に相続放棄を選ぶ理由として、以下のようなケースが挙げられます。


  • ・被相続人が負債(借金など)を抱えていた

  • ・被相続人と関わりを持ちたくない

  • ・被相続人と疎遠だったため財産の状況がわからない

  • ・親族とも疎遠であるため他の相続人で勝手に相続してほしい


相続放棄の手続きは複雑であり、基本的には弁護士や司法書士といったプロの手を借りるのが一般的です。費用の件も含めて、なるべく早めに判断しなければなりません。


費用の準備

相続放棄をすると決めたら、費用を準備しましょう。手続きにどのくらいの費用がかかるかを表でまとめます。


相続放棄にかかる手続き

費用相場

自分一人で手続き

約3,000円から5,000円

司法書士へ依頼した

約3万円から5万円

弁護士へ依頼した

5万円以上(10万円に到達するケースも)


自分一人で手続きを完了させるのであれば、費用相場は多くとも5,000円程度です。プロの法律家に依頼すると、相談料や代理手数料などがかかるので金額も高くなります。とはいえ、確実に相続放棄をしたいのであればプロに任せた方が賢明です。


必要書類の準備

相続放棄は、基本的に家庭裁判所で手続きを進めます。申請に必要な書類を、あらかじめ用意しなければなりません。手続きする場合は、主に以下の書類の提出が求められます。


  • ・相続放棄申述書

  • ・戸籍謄本(申述人本人のもの)

  • ・被相続人の住民票除票

  • ・被相続人の死亡が記されている戸籍謄本

  • ・収入印紙(800円分)

  • ・切手(400から500円分)など


司法書士や弁護士に依頼すれば、これらの書類も基本的に揃えてもらえます。


財産調査

相続放棄をするには、被相続人がどのくらい財産を持っているのかを調査することも重要です。財産調査をしないと相続放棄ができないわけではありませんが、密かに多額の財産を所有していたケースも考えられます。あとから後悔することがないよう、財産の状況を明確にしておいた方がよいでしょう。


調査する際には、弁護士や税理士のようなプロに依頼するのをおすすめします。素人だけで調査を行うと、どうしても不備が生じやすくなるからです。もし相続放棄の期限が迫っているのであれば、財産調査の手続きを省略することも検討してください。


家庭裁判所に相続放棄の申述

必要書類が揃い、財産調査も完了したら家庭裁判所に相続放棄を申述しましょう。管轄は、被相続人が最後に住所を有していた地です。どこを住所と判断するかは、住民票に基づいて決まります。


なお相続人本人が未成年であれば、法定代理人が代わりに申述の手続きをする必要があります。法定代理人とは、未成年者の両親や未成年後見人のことです。


また親および子ども(未成年)の双方が相続人の場合、子どものみを相続放棄させるのは許されません。親が子どもの財産を不当に入手している状態(利益相反行為)に該当するからです。


相続放棄申立後に届く照会書に返送

相続放棄の申立てが完了したら、1週間〜;;;;;;1ヶ月後に家庭裁判所から照会書が送付されます。照会書とは、相続放棄を正当に行うための条件をクリアしているかを確認する書類のことです。書類の内容に従って、必要事項を記入してください。


照会書には、単純承認をしていないかを確認する項目もあります。無意識でも被相続人の財産を消費したら、原則として相続放棄は認められません。


しかし相続放棄ができなくなるからといって、虚偽の回答をすることは絶対に避けてください。虚偽の申告をしたと判断され、後々に法的トラブルとなるリスクが高まります。こうした事態を避けるためにも、司法書士や弁護士に最初から協力してもらうとよいでしょう。


相続放棄申述受理通知書が届く

照会書の送付を終わらせ、相続放棄が認められたら家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きます。この通知書が届いた段階で、手続きは基本的に完了です。


一方で被相続人の債権者が、相続放棄の成立に不服を感じている可能性もあります。債権者がいた場合、裁判上で争うリスクがあることも念頭に置いてください。


相続放棄の注意点

相続放棄をするうえでは、いくつか注意点も押さえなければなりません。知らずにルールを破ってしまうと、放棄が認められなくなる恐れもあります。ここでは、基本的なルールを中心に気をつけるべき点を紹介します。


3ヶ月の期限内に申述する

相続放棄で特に押さえたい注意点が、3ヶ月以内の申告期限(熟慮期間)が設けられている点です。この期間内に必要書類を集め、家庭裁判所に申述しなければなりません。なお熟慮期間は、相続人が被相続人の死亡を知ったときからスタートします。


条件次第では、熟慮期間の延長が認められる場合もあります。主なケースとして挙げられるのが次のとおりです。


  • ・遠方の地にいるため手続きがスムーズに進まない

  • ・疎遠となっている相続人がいるために連絡できない

  • ・親族と疎遠で自分が相続人だと知らなかった


延長を申し入れる際には、家庭裁判所で「相続放棄の期間伸長の申立て」の手続きが必要です。


生前に相続放棄はできない

熟慮期間が設けられている一方で、相続放棄は生前にできないというルールもあります。被相続人の死亡が確認されてから、はじめて申述が認められる手続きであることを覚えておいてください。


特に必要書類は、前もって集めておきたいと考える人も少なからずいるでしょう。しかし被相続人の戸籍謄本は、死亡の記載がないと有効にはなりません。以上のルールも考慮しつつ、スケジュールを練っておくのをおすすめします。


相続放棄すると撤回できない

一度相続放棄をしてしまうと、後日の撤回は認められません。撤回を認めると、他の相続人の権利を不当に奪いかねないためです。相続放棄をするか否かは、じっくりと財産調査をしたうえで慎重に決めてください。


一方で家庭裁判所が相続放棄を受理できていないときは、申述したあとでも撤回が認められるケースもあります。申述後にどうしても撤回したい場合は、なるべく早めに相談および手続きを済ませましょう。


相続放棄すると代襲相続できない

相続放棄によって、代襲相続が認められなくなる点も注意したいポイントのひとつです。代襲相続とは、特定の理由で相続人が財産を受け取れない場合、その子どもや孫が代わりに相続する行為を指します。このような相続が認められるための条件は、主に次の3点です。


  • ・相続人がすでに死亡している

  • ・相続人がその資格を剥奪された

  • ・被相続人が相続人を廃除した


代襲相続の要件には、相続放棄が含まれていません。勘違いしやすいポイントであるため、ルールをしっかりと押さえてください。


相続放棄しても受け取れるものがある

相続財産の中には、相続放棄しても受け取れるものがあります。主な例として挙げられるのが、死亡保険金や遺族年金です。これらは被相続人の財産ではなく、相続人の財産として認められます。


他にも、仏壇やお墓といった祭祀財産も相続人が受け取り可能です。自分で判断が難しいと感じたら、どこまでの権利が認められているかを弁護士に確認するとよいでしょう。


相続放棄は弁護士に依頼すべき理由

相続放棄の手続きは、自分一人で行うこともできます。しかし複雑な知識が求められるため、正確に行うには弁護士に依頼したほうが賢明です。ここでは、相続放棄を弁護士に任せたほうがよい理由について解説します。


却下されると相続放棄できなくなる

家庭裁判所から申述を却下されると、相続放棄ができなくなります。必要書類を集めたにもかかわらず、手続きの不備で相続放棄が認められなかったら時間や費用が無駄になってしまうでしょう。却下される主な原因は、以下のとおりです。


  • ・熟慮期間を経過した

  • ・相続財産を処分・隠居などをした(法定単純承認)


ミスをなるべく防ぐためにも、正確に手続きしなければなりません。相続に精通している弁護士に依頼すれば、家庭裁判所から却下される確率が極めて低くなります。


相続放棄できる期間が短い

弁護士に依頼すべき理由として、相続放棄できる期間が短い点も挙げられます。被相続人が亡くなると、市役所での手続きや葬式の準備と慌ただしくなります。


3ヶ月の期間が設けられていますが、想像しているよりも早く期限が迫ってくるでしょう。期間を守るためにも、最初から弁護士の手を借りたほうが賢明です。


相続放棄に必要な面倒な書類手続きも任せられる

弁護士に依頼するメリットとして、面倒な手続きを一任できる点も挙げられます。司法書士に依頼する方法もありますが、弁護士とは異なり彼らには代理権を持ちません。担当できる範囲は基本的に書類の作成のみで、その後の対応は相続人本人が行う必要があります。


また家庭裁判所から相続放棄照会書が届いた場合、弁護士であれば相続人の代わりに記入ができます。一方でこの権利は、司法書士には認められていません。


他にも相続財産の債権者により、訴訟を提起されるケースも考えられます。訴訟に発展した際にも、弁護士に依頼すれば対応してもらえます。


まとめ

この記事では、相続放棄の方法について解説しました。相続放棄は3ヶ月しか期限がありませんが、手続きは想像以上に時間がかかります。どのような書類が必要かを確認したうえで、なるべく早いうちに準備を進めることが重要です。


ただし、被相続人が死亡するまでは家庭裁判所への申述ができず、戸籍謄本も集められないので注意してください。自分で手続きを進めることもできるものの、さまざまなリスクに備えるべく弁護士に依頼するのをおすすめします。



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