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相続債務とは?相続で債務がある場合はどうなる?


「相続」は多くの人が一度は経験するもの。多くの人が財産を引き継ぐことを期待しますが、知らぬ間に債務まで受け継いでしまうことも。この記事では、相続時に予期せず債務を背負ってしまうリスクと、その対処法を詳しく解説します。相続が近いあなた、または将来のための準備を考えているあなたへ、必読の情報をお届けします。


相続債務とは?


相続債務とは、被相続人が生前に有していた借金や負債のことを指します。相続が発生すると、プラスの財産(例:不動産、預金等)だけでなく、このマイナスの財産も引き継ぐことになります。債務は遺産分割の対象とならず、各相続人が法定相続分に応じて承継します。さらに、遺産分割協議の場面で、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものは、相続財産から差し引くことができます。



債務控除とは?

債務控除とは、相続税計算時に、被相続人(亡くなった方)が残した債務やマイナスの財産を相続財産の価額から差し引くことができる制度を指します。この債務控除を適切に行うことで、相続税の負担を軽減することができます。


債務控除が利用できるのは、相続人や包括受遺者(相続財産の全部または一部の遺贈を受けた者で、財産に対する一定の割合を取得する者)です。




債務控除の対象になる主な債務


債務は、被相続人(亡くなった方)が残したマイナスの財産や負債を指します。主なものとして以下の点が挙げられます。


・被相続人が残した借入金や未払金

・葬式にかかった費用などの債務や葬式費用

・銀行や個人からの借入金

・公租公課

・連帯債務


これらの債務は、相続税計算時に相続財産の価額から差し引くことができます。



債務控除の対象にならない主な債務


一方で以下の債務は、相続税計算時に相続財産の価額から差し引くことができません。


・保証債務

・墓地や仏具などの非課税財産の未払金

・実体がない借り入れ

・制限納税義務者が負担した葬式費用


相続で債務がある場合はどうなるのか?


相続が開始される際、財産だけでなく債務も相続されます。そのため、相続人は被相続人の債務を負担する義務が生じます。


相続の原則として、被相続人の権利義務が相続人に移転します。(例外もあります。)

このため、被相続人が生前に持っていた財産だけでなく、債務も同様に相続されることとなります。しかし、相続債務が相続財産を上回る場合、相続人は経済的な負担を感じるかもしれません。このような状況を回避するために、相続放棄という制度が存在します。相続放棄を行うと、相続人はその債務を負担する義務から免れることができますが、同時に相続財産の取得権も失うこととなります。


相続人が死亡したら債務はどうなるのか?

相続人が死亡した場合、その相続人の法定相続人が債務の返済義務を受け継ぎます。ただし、債務が相続財産の価値を上回る場合、相続放棄を選択することも考慮に入れるべきです。


相続は、被相続人の権利と義務の移転を主旨としています。したがって、被相続人が持つ債務は、法定相続人に移転します。しかし、もし相続人が死亡した場合、その相続人の法定相続人がさらに債務を受け継ぐことになります。このような連鎖的な債務の移転は、家族間での経済的負担を増大させる可能性があります。そのため、相続財産の価値が債務を上回る場合、相続放棄という手段を通じて、返済義務から解放される選択も可能です。


相続債務があった場合の対処方法

まず、財産の状況を把握し、負債の額と相続財産の価値を比較する必要があります。相続したい財産の価値が負債を上回る場合、相続を進めても問題は生じません。しかし、負債が財産の価値を上回る場合や負債が財産の価値を下回る場合でも、相続を承認すると被相続人の債務も引き継ぐことになります。


専門家と相談し、最適な対応策を検討することをおすすめします。


単純承認

単純承認は、相続人が被相続人の全ての財産と債務を引き継ぐ方法です。具体的には、プラスの財産(現預金や不動産、売掛金などの債権など)とマイナスの財産(借金や未払税金などの債務)のすべてをそのまま受け継ぐことを指します。


単純承認は、被相続人の債務と財産の総額を明確に知っている、または債務が少なく、財産の価値がそれを上回る場合の相続人におすすめです。一方、債務がどの程度あるか不明な場合や、財産が少なく債務が多い場合は、単純承認よりも「限定承認」という方法を選択することを検討することも必要です。


単純承認は、特別な手続きを行わないことで成立します。具体的には、相続放棄をしない限り、自動的に単純承認の状態となります。この際、特定の書類を提出する必要はありませんが、被相続人の債務と財産の総額をしっかりと確認し、その上での判断が必要となります。



限定承認

相続に関する債務が生じた場合、対応策の一つとして「限定承認」を考えることができます。


限定承認は、相続によって得られた財産の限度内でのみ、被相続人の債務および遺贈を弁済するという手続きです。この手続きの最大の特徴は、相続財産だけで完済できない場合、相続人が自分の財産で債務を補填する必要がない点にあります。


被相続人の負債が多く、相続したい財産の価値がその債務を上回らない場合、特に限定承認を選ぶことで、自己の財産を使って債務を返済するリスクを減少させることができます。また、相続財産の価値と債務のバランスが不明確な場合も、この手続きが有効です。


限定承認を行うには、まず相続財産と債務の状況を把握することが必要です。そして、相続人全員の合意が求められますので、相続人間での協議が必要となります。



相続放棄


相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の遺産全てを放棄することを意味します。これにはプラスの財産である「資産」とマイナスの財産である「負債」の両方が含まれるため、相続放棄を行うと、その人の遺産を一切相続しないことになります。


相続放棄がおすすめなのは、被相続人の債務が多額で、その債務を返済する手段がない場合や、相続する財産の価値が債務を上回らないと予想される場合です。また、相続に関する情報が不足していて、財産と債務のバランスが明確でない場合にも考慮することが推奨されます。


相続放棄を行うためには、家庭裁判所でその旨の申述をする必要があります。申述の期限は、自己のために相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内とされております(民法915条)。この期間内に家庭裁判所で正式な手続きを行い、相続放棄を申し立てることが必要です。


まとめ

相続債務は、亡くなった方が持っていた債務を相続人が受け継ぐことを指します。この債務を受け継ぐことで、想定外の負担に直面する可能性があります。しかし、適切な手続きを通じて、債務を受け継がないようにする選択もあります。具体的には「相続放棄」を行うことで、債務だけでなく資産も受け継がないことを選べます。この方法は、債務の方が資産よりも多い場合や、相続する意志がない場合に有効です。相続に関わる重要な選択を前に、しっかりと知識を身につけ、最適な判断を下すことが求められます。



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