法定利率に関するルールの改正3(中間利息控除)
平成29年5月に民法が改正され、令和2年4月1日から施行されています。今回の改正によって、これまでと大きく異なる点が多くありますが、本日も、法定利率に関するルールが変わったことについて、ご説明させて頂きます。今回は、中間利息控除についてです。
交通事故を原因として後遺症を負ってしまった場合、労働能力が喪失したことによって、将来得られたはずであろう収入を得られなくなってしまうことがあり、この得られなくなった分を逸失利益と言います。本来、給与収入は毎月支払われるものですが、逸失利益は、将来分を含めて一括して支払われます。この場合、たとえば、後遺症による減収が年間200万円だとして、それが10年間続く場合、逸失利益として2000万円が支払われることになるかと言うと、そうではありません。この2000万円を運用することにより、10年後には、2000万円を超える金額になり、本来取得出来るよりも大きな金額を得ていることになり、公平でないためです。そこで、中間利息控除を行い、将来得られる利息分を差し引いて、逸失利益を減額することになります。
改正前の民法には、中間利息控除に関する規定がありませんでしたが、今回の法改正により、中間利息控除に法定利率を用いることが明文化されました。
(中間利息の控除)
第417条の2 将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。
(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)
第722条 第417条及び第417条の2の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
これまで、年5パーセントで中間利息控除が行われていましたが、法定利率が3パーセントになることで、逸失利益の金額が増えることになります。
たとえば、1年後に100万円が発生すると仮定して、この支払いを現時点で受けるとする場合、年5パーセントの中間利息控除だと、支払われる金額は、約95万円です。
[計算式]
100万円 ÷ 1.05 ≒ 95万2381円
一方、年3パーセントの中間利息控除だと、支払われる金額は、約97万円です。
[計算式]
100万円 ÷ 1.03 ≒ 97万0874円
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「中間利息控除とライプニッツ係数」(民法改正前の記事になります。)
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