保証契約に関するルールの改正(情報提供事務の新設)
平成29年5月に民法が改正され、令和2年4月1日から施行されています。今回の改正によって、これまでと大きく異なる点が多くありますが、本日も引き続き、保証に関する民法のルールが変わったことについて、ご説明させて頂きます。
保証人となろうとする場合、主たる債務者が本当に返済をすることが出来るのか、主たる債務者に財産はあるのかどうか、他に債務はあるのか、ということは気になるところであると思います。また、保証人となった後、主たる債務がしっかりと履行されているのかどうか、ということも気になるところであると思います。
そこで、保証人になることを主たる債務者が個人に委託するときは、委託を受ける者に対して、保証人になるかどうかの判断のための情報として、主たる債務者の財産や収支の状況、主たる債務以外の債務の金額や履行状況等に関する情報を提供しなければなりません。これは、事業用融資に限られず、売買代金やテナント料など融資以外の債務の保証をする場合にも適用されます。主たる債務者がこれらの情報を提供せず、または事実と異なる情報を提供したために、委託を受けた者がこれらの事実について誤認した場合で、主たる債務者が情報を提供せず、または事実と異なる情報を提供したことを債権者が知り、または知ることが出来たときには、保証人は、保証契約を取り消すことが出来ます。実際には、保証契約を締結する際に、主たる債務者が保証人となろうとする者に対する情報提供義務を尽くしたということが契約書上に明記されることになるかと思います。
また、主たる債務者の委託を受けて保証人になった場合には、保証人は、債権者に対して、主たる債務についての支払の状況に関する情報の提供を求めることが出来ます。なお、この情報提供は、法人が保証人である場合にも求めることが出来ます。
そして、保証人が個人である場合には、債権者は、主たる債務者が期限の利益を喪失したことを債権者が知った時から2か月以内にその旨を保証人に通知しなければならないとされています。債権者がこの通知を怠った場合、債権者は、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から債権者がその旨の通知を現にするまでに生じた遅延損害金について、保証債務の履行を請求することが出来なくなります。
藤沢市、鎌倉市、茅ヶ崎市近郊で、保証債務に関してお困りでしたら弁護士松永大希(藤沢かわせみ法律事務所)までご連絡下さい。
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