養育費の金額と養育費算定表
未成年のお子さんがいらっしゃるご夫婦が離婚する場合、親権者を父親と母親のどちらにするかということを決めた後、養育費の金額が問題となることがあります。ご相談内容としては、養育費の支払いを受ける側からは「養育費はいくら支払ってもらえるのか。」、養育費を支払う側からは「養育費をいくら支払えば良いのか。」というものになります。
養育費の金額について、家庭裁判所では「養育費算定表」が算定の目安になっています。最近では、養育費算定表の存在が広く知られていて、インターネットで簡単に検索することができるため、弁護士や裁判所が関与しない離婚においても、参考にされることが増えているように思います。養育費算定表は、子供の人数、年齢に応じていくつかのパターンがあります。
法律相談時にしばしばお聞きする声として、養育費の支払いを受ける側(権利者)の方からは「これだけしか支払ってもらえないのか。」、養育費を支払う側(義務者)の方からは「こんなに支払わないといけないのか。」というものがあります。裁判所は中立な立場ですので、権利者、義務者のいずれかに有利な資料を作成することはできません。そのため、権利者、義務者のいずれにとっても、「腹八分」の内容になっているのだと思いますし、だからこそ、養育費算定表が広く用いられているのだと思います。もちろん、裁判所の調停であっても、当事者双方の合意が得られれば、養育費算定表の金額とは異なる金額によって調停が成立することもあります。
ただ、養育費算定表によってあらゆるケースを解決することができるわけではありません。
給与所得者の場合、源泉徴収票に記載されている金額が基準とされますが、この金額には毎月の給与だけでなく賞与も含まれています。そのため、毎月の給与の金額からすると、算定表から算出される養育費の金額が高くなってしまうケースもあります。
養育費算定表に記載されている収入よりも多くの収入を得ている場合に養育費算定表を当てはめることはできませんし、子供の人数に関しても同様です。進学に伴う特別な出費を誰が負担するか、ということも話し合う必要があります。
過去にも婚姻歴があり、未成年者に養育費を支払っている場合、今回の離婚において養育費算定表の金額をそのまま当てはめてよいか、ということも問題になります。
養育費算定表が目安になるとは言え、具体的な金額、支払方法等についてお困りであれば、一度、弁護士にご相談いただくことをお勧めします。