遺言と相続対策
相続対策として遺言を作成する場合の、「相続対策」の意味合いは様々です。相続人が支払う相続税を減らしたいという意味での「相続対策」の場合もありますし、将来、相続人間で争って欲しくないという意味での「相続対策」の場合もあります。遺言書の作成のお手伝いをさせて頂く場合、相続税のことも相続人間の紛争のことも視野に入れますが、遺言の作成を希望しているご相談者・ご依頼者が、遺言によって何を実現したいのか、ということを掘り下げた上で、遺言書の作成のお手伝いをさせて頂いています。
遺言書を作成しようとする場合、自筆証書遺言と公正証書遺言が多いと思います。自筆証書遺言は、遺言者が、遺言書の全文、日付及び氏名を自分で書き、押印して作成する方式の遺言です。公正証書遺言は、遺言者が遺言の内容を公証人に伝え、公証人がこれを筆記して公正証書による遺言書を作成する方式の遺言です。公正証書遺言は、公証人に支払う費用等の面で、自筆証書遺言と比較して費用がかかります。ただし、自筆証書遺言において問題になりがちな、形式的な方式の不備の問題や遺言意思の有無の問題が生じる可能性が低いというメリットがあります。また、公正証書遺言に関しては、家庭裁判所の検認の手続きは不要です。そのため、当事務所においては、遺言を作成する場合、原則として公正証書遺言の作成をお勧めしています。もっとも、自筆証書遺言を作成しよう考えていらっしゃる方に関しても、その内容を法律相談においてチェックさせて頂くこともあります。法律相談においてお話をうかがう中で、遺言書に記載していなかった財産が見つかったり、ご相談者のご希望をより一層実現させるための案が見つかることもあります。
特定の相続人の遺留分を侵害する遺言書は別として、遺言書が存在していれば発生しなかったと思われる相続人間の紛争は少なからず存在していると思います。そのため、「相続対策」の一つの方法として、遺言を作成することは、とても有用であると考えています。