遺留分減殺請求権の行使
相続財産の全てを特定の相続人に相続させる旨の遺言書が作成されることがあります。この場合には、他の相続人は、遺留分減殺請求権の行使を検討することになります。
遺留分とは、相続に際して、相続財産の中から、一定の相続人に対して法律上確保された一定割合の相続財産を意味します。一定の相続人に対しては、法律上、最低限の財産の取得が保証されています。
遺留分よりも少ない割合の相続財産しか取得することができない場合には、遺留分が侵害されていることとなりますので、遺留分を侵害された相続人は、遺留分を侵害している受贈者・受遺者・その他の相続人に対して、被相続人による処分行為の効力を奪う権利を有します。このことを遺留分減殺請求権と言います。
そして、遺留分減殺請求権の行使は、減殺請求の相手方(受遺者・受贈者等)に対する、権利者の一方的な意思表示であるため、裁判外の意思表示による行使でもかまわないとされています(最高裁昭和41年7月14日判決)。
もっとも、遺留分減殺請求権は、「相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間」の短期消滅時効があります。そのため、裁判外の意思表示によって遺留分減殺請求権を行使した場合には、同権利を行使した時期が争いになることがあります。このような争いを避けるために、裁判外で遺留分減殺請求権を行使する場合には、配達証明付きの内容証明郵便によって意思表示を行っておくべきだと考えています。また、遺言執行者が指定されている場合には、遺言執行者に対しても、遺留分減殺請求権の意思表示を行っておくのが確実です。
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