中間利息控除とライプニッツ係数
交通事故による後遺障害が残ってしまい、交通事故以前に行うことができていた仕事ができなくなってしまうことがあります。その場合に、交通事故がなければ得られたであろう利益を「逸失利益」として、事故の加害者に請求することができます。後遺症による逸失利益の計算方法は、
[計算式]
基礎収入額 × 労働能力喪失率 × 中間利息控除(労働能力喪失率に対応するライプニッツ係数)
となります。今回は、このうちの、中間利息控除についてご説明させて頂きたいと思います。なお、交通事故後、実際に収入が減少しなかったとしても、逸失利益を請求することができる場合がありますが、そのことについては、別の機会にご説明したいと思います。
交通事故の損害賠償金は、1年ごとに支払われるものではなく、一括で支払われます。そのため、交通事故の損害賠償金の中には、本来であれば将来受け取るべき賠償金も含まれていることになります。交通事故の損害賠償金を一括で支払われた場合、自宅のタンス等に保管し続ける方は少ないと思います。ほとんどの方が、預貯金として預け入れたり、何らかの運用をなさるのではないかと思います。そうすると、たとえば、10年後に支払われるはずの逸失利益に関して、10年後には10年分の利息が付いていることになり、本来支払われるべき金額よりも多くの金額を得ていることになります。その点を調整するために、中間利息控除を行います。
利率に関しては、民法上の利率が5パーセントですので、5パーセントで計算します。なお、金融機関に預け入れても、年5パーセントの利息が付くことなどないとは思いますが、確率された計算方法ですので、疑問を抱きつつも、この計算方法にしたがっています。たとえば、症状固定後1年間の逸失利益を100とした場合、症状固定時に受け取ることとなる賠償金は、
[計算式]
100 ÷ 1.05 = 95.2380
となり、約95万円ということになります。そうすると、症状固定後1年間の逸失利益に関しては、「0.95238」を乗じて計算することになります。これを症状固定後2年目以降も同じように計算することになります。現在は、ライプニッツ係数による中間利息控除が主流で、実際には、ライプニッツ係数の表を参照しながら損害賠償金を計算しています。