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遺産分割調停が長期化する原因

遺産分割に関するご相談を受ける中で、「遺産分割調停は時間がかかるって聞いたことがありますが、本当ですか?」という質問をいただくことがあります。ケースバイケースだとは思いますが、時間がかかる場合には、何年もの時間を要することがあります。ただ、家庭裁判所においても進行の迅速化を心掛けているということはありますし、何年もの時間がかかる場合は多くはないと思います。ただ、そうは言っても、1年程度はかかることが多いように思います。

そこで、今回は、遺産分割調停の長期化の原因として考えられるものをいくつかご紹介いたします。

1.相続人が多数存在する場合

遺産分割調停の成立には、相続分の放棄や譲渡といった方法はありますが、原則として、相続人全員の同意が必要です。相続人が多数であれば、それだけ異なる考えを持つ方がいらっしゃるので、意見を調整するのに時間を要することがあります。また、調停においては、「申立人」と「相手方」とに分かれますが、申立人間で利害が激しく対立することは少ないかと思います。一方、同じ「相手方」であっても、利害が対立することは発生し得ます。このような場合、調停委員が相手方全員から同時に話を聞くことはできず、その分だけ一回の調停の進行が遅くなってしまう、ということもあります。


2.前提問題が未解決の場合

相続人の範囲や遺産の範囲について争いがある場合には、民事訴訟で解決する必要があります。民事訴訟自体も1年以上の時間を要することが多いです。そして、訴訟の結果を前提として、再度、遺産分割調停を再開することとなりますので、その分、時間がかかります。ただ、実際には、相続人間の争点が、民事訴訟で争われている内容に限定される場合には、民事訴訟手続きの中で解決することもあります。民事訴訟の和解において遺産分割協議を成立させることはできませんので、訴訟外で遺産分割協議を成立させることになります。


3.付随問題が主たる争点となってしまう場合

当事者が、使途不明金の処理・葬儀費用の負担に固執してしまい、本来、遺産分割調停で話し合うべき事項そっちのけで、主たる争点となってしまう場合があります。このような場合、本来の話合いの対象である事項について、話合いが進まなくなってしまいます。調停上、ある程度の期間が経過すると、付随問題については民事訴訟で解決することを裁判所から勧められることが多いです。


4.相続人間の感情的対立

相続人間で感情的対立がある場合には、長期化することが多いような気がします。遺産分割調停の場が、他の相続人を非難する場になってしまうことがあります。


遺産分割調停が長期化した場合、相続財産を取得することができない、相続税を多く支払わないといけない可能性がある、等のデメリットもあります。調停を可能な限り迅速に成立させることも、代理人である弁護士の役目であると考えています。


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