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介護事故と法的責任

介護が特別なものではなくなりつつある昨今、介護施設における事故が発生することがあります。介護事故といっても、その種類は様々で、大きく分けても、転倒、誤嚥、食中毒等多くの種類がありますし、転倒に関してだけであっても、移動時の転倒、入浴時の転倒、トイレ時の転倒、就寝時の転倒、リハビリ時の転倒等、細かく分類することができます。

介護事故に遭ってしまい、介護施設等に対して法的請求を行う場合、債務不履行という法律構成、不法行為という法律構成が考えられます。ただ、どちらの法律構成を採用するとしても、法的に要求されている注意義務に違反しているかどうか、ということが問題となります。介護事故は、その性質上、医療過誤(医療事故)と対比して論じられることがありますが、医療事故ほど、確立された裁判上の基準があるわけではありません。医療事故の場合には、「注意義務の基準となるべきものは、診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である」(最高裁平成7年6月9日判決)という最高裁判例があります。

この最高裁判例を参考として、介護における注意義務について考えてみたとしても、最終的には個別の事情から判断せざるを得ないのではないかと思います。理論上は、「こうすれば、事故を防ぐことができた。」という方法が考えられるとしても、果たして、その方法が、介護の現場において求められる注意義務と言えるのかどうかということが問題となります。介護事故に基づく損害賠償を請求する側であっても、請求を受けた側であっても、個別の事情(入所、通所、訪問の種類、どのような場面における事故か、事故前の状況等)をしっかりと検討し、参考となるべき裁判例があれば、その裁判例をしっかりと検討する、ということが重要になってきます。

また、介護事故に基づく損害賠償請求においては、介護サービスを受ける方の既往症と事故との関係が問題となることが多いように思います。この点については、また別の機会にご説明させていただければと思います。



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